はじめまして、桐生智彰(きりゅう ともあき)です。
独立系CFOアドバイザーとして、日々企業の「血流」であるキャッシュフローと向き合っています。東京・中央区から発信するこのブログは、明日の振込資金に悩むCFO・財務担当者の皆さんへの「実戦レポート」です。
毎朝7時、私が最初に見る数字
朝7時。コーヒーを淹れる前に、まず開くのは銀行残高照会画面です。
「今日の酸素量は?」
これが私の一日の始まり。キャッシュポジションを確認し、Slackで社内共有。この習慣は、リーマンショック以来15年間続けています。なぜなら、企業にとってキャッシュは文字通り「酸素」だから。どんなに優れた戦略も、明日の支払いができなければ絵に描いた餅です。
CFO歴14年、資金調達総額350億円超。上場準備中のベンチャーから年商300億円の中堅メーカーまで、様々な企業の「資金繰り最前線」で戦ってきました。そこで学んだのは、「資金繰りは社内政治の体温計」だということ。数字の裏には必ず人間ドラマがあり、それを読み解くのがCFOの真の仕事です。
リーマンショックの朝、10億円が消えかけた
2008年9月某日、朝8時。
「取引銀行から緊急連絡です。与信枠の見直しで…」
電話の向こうの声で、血の気が引きました。月末まであと1日。手元資金は3億円。必要額は13億円。差額の10億円が、一夜にして調達不能に。
あの日の恐怖は、今でも鮮明に覚えています。朝から晩まで、ファクタリング会社、地銀、信金、ノンバンク…あらゆる調達先を駆け回り、最終的に3社からの緊急調達でなんとか危機を回避。手数料は通常の3倍でしたが、「生き残る」ことが最優先でした。
この原体験が、私の資金繰り哲学の原点です。「最悪の事態は、最良の準備をしている時にやってくる」—ハワード・マークスの言葉を胸に、常に複数のシナリオを準備することを心がけています。
データで語る、現場で戦う
私のブログの特徴は、「綺麗ごとゼロ」です。
- 実データ 90%
- 失敗談 9%
- 成功事例 1%
この比率にこだわるのは、現場で本当に必要なのは「きれいな理論」ではなく「泥臭い実践知」だからです。
例えば、ファクタリング手数料。教科書には「2-5%が相場」と書いてありますが、実際は交渉次第で大きく変わります。私は10年かけて、平均手数料を2.8%から1.4%まで圧縮しました。その過程で学んだ交渉テクニック、比較表、失敗パターン…すべて実名(企業名は匿名化)で公開しています。
毎回の記事構成も決まっています。
- 「今日のキャッシュ残高」から導入 – リアルタイムの緊張感を共有
- PDCAログ(実データ公開) – 週次CF表、KPI推移をそのまま掲載
- 学びのTIP – 数字から導き出される「次の一手」
- 明日の打ち手で締め – 読者が月曜朝イチで実行できるアクション
数字は嘘をつきません。でも、数字だけでは人は動きません。だから私は、財務KPIを「経営意思決定言語」に翻訳することを心がけています。「売掛金回転期間が45日」ではなく、「お客様の支払いが1.5ヶ月遅れると、私たちの給料日も危うくなる」と伝える。これが、現場を巻き込むストーリーテリングの極意です。
CFOの孤独を、共闘に変える
深夜のオフィス。エクセルと向き合いながら、ふと思うことがあります。
「この悩み、他社のCFOはどう解決してるんだろう?」
CFOや財務責任者の仕事は、本質的に孤独です。社内では相談相手が限られ、社外には機密情報の壁がある。でも、この孤独は必要悪ではありません。
だから私は、毎回の記事で問いかけます。「あなたの会社なら、どこを交渉しますか?」コメント欄には、同じ悩みを抱える仲間たちからの実践報告が集まります。時には、匿名化した自社データを共有し合う「共闘コミュニティ」も生まれています。
年商20億円のスタートアップCEOも、300億円企業のベテランCFOも、資金繰りの前では平等です。むしろ、規模や業界を超えた知恵の交換こそが、最強の武器になります。
明日も、あさっても、キャッシュと向き合う
バブル崩壊後に社会人になった私たち世代は、「右肩上がり」を知りません。知っているのは、不確実性の中で生き抜く術だけ。でも、それが強みだと思っています。
資金繰りは、企業の「ライフログ」です。売上の波、支払いのリズム、投資のタイミング…すべてがキャッシュフローに刻まれています。その記録を読み解き、明日への打ち手を考える。これが、私たちCFOの使命です。
このブログで目指すのは、「資金繰りPDCA=攻めの経営指標」という新しい常識の確立です。守りの資金繰りから、攻めのキャッシュマネジメントへ。その転換点に立つ皆さんと、実データと実践知を武器に、共に戦っていきたい。
明日の朝も7時に、私はキャッシュポジションを確認します。そして、その数字の裏にある物語を、このブログで共有し続けます。
「今日のキャッシュ残高は?」
この問いかけから始まる、リアルな資金繰りストーリー。ぜひ、あなたの実践報告もお聞かせください。CFOの孤独な戦いを、知恵と勇気を分かち合う共闘へ。一緒に、企業の血流を守り、そして強くしていきましょう。
銀行とファクタリング会社がひしめく東京・中央区より 桐生智彰